大判例

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大分地方裁判所 昭和43年(わ)76号 判決

本籍

別府市立田町六番二三号

住居

同市中島町一〇番一九号

遊戯場経営

津末武久

大正一四年三月八日生

右の者に対する所得税法違反被告事件について、当裁判所は検察官新井弘治出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人を罰金五〇万円に処する。

右罰金を完納することができないときは、金五、〇〇〇円を一日に換算した期間、被告人を労役場に留置する。

訴訟費用は、全部被告人の負担とする。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、昭和二七年一月頃から大分県東国東郡国東町大字鶴川五二七番地一一号においてパチンコ遊戯場「一銀会館」を昭和三七年二月頃から同町大字鶴川一二八五番地一号においてパチンコ遊戯場「大福会館」を、同年一二月末頃から別府市駅前においてパチンコ遊戯場「大鵬会館」を、昭和三九年五月頃から杵築市大字杵築六六五番地において同じくパチンコ遊戯場「大鵬会館」をそれぞれ経営していたものであるが、自己の所得税を免れようと企て、公表帳簿には右営業収益の一部を記載しない等の方法により所得を秘匿したうえ、昭和三九年分の実際課税所得金額は別紙貸借対照表記載のとおり五七四万三四九円であり、これに対する所得税額は一八六万九、七二〇円であるにもかかわらず、自分の所得を被告人および園田九州男の名義に分割し、昭和四〇年三月一五日、別府市別府二〇九五番地所在の所轄別府税務署において同署長に対し、所得金額は二六万二、四七三円の欠損でこれに対する所得税額はない旨記載した内容虚偽の所得税損失申告書を提出するとともに、同日、右園田の住所を所轄する国東町鶴川所在の国東税務署において同署長に対し、園田九州男名義で、所得金額は一一四万七三二円、これに対する所得税額は一一万一、〇〇〇円である旨を記載した内容虚偽過少の所得税確定申告書を提出し、もって不正の方法により右年度分の正規の所得税額と申告税額との差額一七五万八、七二〇円を法定の納付期限を経過するも納付せず、右同額の所得税を免れたものである。

(証拠の標目)

判示事実は、

一、被告人の当公判廷における供述

一、第一および第六回各公判調査中の被告人の各供述部分

一、被告人の検察官に対する供述調書四通

一、被告人の大蔵事務官に対する質問てん末書一四通

一、大蔵事務官に対する、津末律子(三通)、園田九州男(四通)、三宮英子(二通)、脇栄子(三通)、大浦福次、河野節子(三通)、吉田政喜(三通)、阿部徳雄、高橋正夫、手嶋勝己、高橋肇、川谷正己、大野清雄、林秋および吉田正子の各質問てん末書

一、第六および第一〇回各公判調書中の証人吉田律子の各供述部分

一、証人吉田政喜、同大野清雄の当公判延における各供述

一、吉田俊明の検察官に対する供述調書

一、第九回公判調書中の証人吉田俊明の供述部分

一、園田九州男、高橋功(二通)、高橋作雄、高橋正信および園田俊子各作成の各上申書

一、桃田道徳作成の手紙

一、別府税務署長作成の三九年分の所得税の損失申告書写

一、別府税務署長作成の三九年分の所得税の修正申告書写

一、国東税務署長作成の三九年分の所得税の確定申告書写

一、西日本相互銀行別府支店作成の普通預金元票、掛金元帳、担保品元帳(二通)、手形貸付元帳(二通)および給付金元帳の各写

一、西日本相互銀行杵築支店作成の普通預金元帳、イチウリ貯金元票、掛金元帳、定期預金及び通知預金元帳、証書貸付元帳、残債給付元帳の各写

一、伊予銀行松原支店作成の普通預金元帳写

一、豊和相互銀行作成の普通預金元帳写

一、豊和相互銀行別府支店作成の積金元帳写

一、杵築信用金庫作成の証書貸付金元帳、日掛積金元帳及定期預金元帳写

一、豊和相互銀行国東支店作成の貸付金元帳二通の各写

一、別府信用金庫作成の証明書

一、大蔵事務官作成の、未経過利息計算明細綴、有形固定資産償却計算等内訳明細綴、調査事績報告書および「ヤナセ北九州支店(小倉)武久名義」と題する書面

一、有限会社三矢ベンダー商会作成の証明書

一、大分トヨタ自動車株式会社作成の証明書

一、押収してある金銭出納帳二冊(昭和四五年押第九五号の一および二)、昭和四〇年度金銭出納帳一冊(同号の三)、昭和三九年度売上帳一冊(同号の四)、昭和四〇年度決算報告書綴一綴(同号の五)、領収書念書各一通(同号の六)、賃貸借契約書並びに委任状、領収証各一通(同号の七)、昭和三九年総勘定元帳一冊(同号の八)、昭和四〇年度総勘定元帳一冊(同号の九)、昭和三九年度決算関係書類綴一綴(同号の一〇)、定期預金利息計算書一枚および借用証二枚(同号の一一)、申告所得税個人別調査事績つづり一綴(同号の一二)、出資証券カード一枚(同号の一三)、昭和三九年五月一日より一二月分までの日計表綴六冊(同号の一四の二ないし七)、一銀会館決算書綴一冊(同号の一五)、青色申告者書類つづり一綴(同号の一六)、尚球社作成の書簡一通(同号の一七)、被告人の別府信用金庫普通預金元票三枚(口座番号五四一七番二枚は同号の一八、口座番号六三五六番一枚は同号の一九)、谷口英子の普通預金元票二枚(同号の二〇)、被告人の預金元帳五枚(通帳番号一六-四二番三枚は同号の二一、通帳番号一五-一四一番二枚は同号の二二)、園田九州男の普通預金元帳二枚(同号の二三)、被告人の豊和相互銀行の普通預金元帳六枚(同号の二四)、被告人の別府信用金庫一年定期積金元帳三枚(口座番号〇三九番一枚は同号の二五、口座番号五五四二番一枚は同号の二六、口座番号七七九六番一枚は同号の二七)、被告人の日掛預金元帳一二枚(同号の二八および二九)、大浦福次の日掛積金元帳二枚(同号の三〇)、被告人の定期積金元帳二枚(通帳番号五五二番一枚は同号の三一、通帳番号七〇六番一枚は同号の三二)、津末武久の定期積金元帳一枚(同号の三三)、園田九州男の定期積金元帳三枚(通帳番号五五一番一枚は同号の三四、通帳番号七〇七番一枚は同号の三五、通帳番号六四五番は同号の三六)、被告人の一年定期預金元帳二枚(証書番号一三二四五番一枚は同号の三七、証書番号一三五八八番は同号の三八)、被告人の定期預金元帳一枚(同号の三九)、津末正詞の定期預金元帳一枚(同号の四〇)、岩田和義の定期預金証書一枚(同号の四一)、相羽智恵子の定期預金証書一枚(同号の四二)、三崎智子の定期預金証書一枚(同号の四三)、被告人の友永粂市宛通知書一枚(同号の四四)、昭和三八年度大鵬会館の総勘定元帳一冊(同号の四五)、園田九州男の証書貸付金元帳一枚(同号の四六)、園田九州男の手形貸付金元帳二枚(四七番一枚は同号の四七、五番一枚は同号の四八)、大浦福次の手形貸付金元帳二枚(同号の四九)、被告人の定期預金元帳一枚(同号の五〇)、定期預金元帳一〇枚(番号五三七一番、一八七三番、九五三六番、六二五二番、一八七二番五枚は同号の五一、番号一四〇四二番、一四二〇五番、一四二〇三番、一四〇四三番および一四二〇四番五枚は同号の五二)、被告人の手形貸付金元帳五枚(同号の五三)、脇栄子の相互掛金元帳一枚(同号の五四)、および別府信用金庫本店定期積金元帳四枚(口座番号一七〇五四ないし七番)の各存在

によってこれを認める。

(法令の適用)

被告人の判示所為は昭和四〇年法律第三三号附則三五条、同法律による改正前の所得税法六九条一項に該当するところ、所定刑中罰金刑を選択し、その所定金額の範囲内で被告人を罰金五〇万円に処し、右の罰金を完納することができないときは、刑法一八条により金五、〇〇〇円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置し、訴訟費用については、刑事訴訟法一八一条一項本文を適用して全部これを被告人に負担させることとする。

よって、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 土井俊文 裁判官 三宅純一 裁判官 大喜多啓光)

別紙

貸借対照表(昭和39年12月31日現在)

〈省略〉

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